カンガには一枚一枚スワヒリ語で
メッセージがプリントされているのが一番の特徴です。
カンガにメッセージがいつごろからプリントされるようになったかははっきりとはしていませんが、
織本の調査によれば1880年代にはすでに東アフリカ向けに輸出されていた布に
すでにスワヒリ語の文言が書かれていることを確認しています。
また、ある文献では、イスラームに関連する言葉から発祥したのではなないかとの言われています。
モンバサでもっとも有名で歴史あるカンガのデザイナーでもあり、
トレーダーでもあったカデルディーナ・ハッジ・イサック社が
ムスリム(イスラム教の人々)のコミュニティの結束を強めるために入れたと
織本の取材に答えています。
ザンジバルの女性たちの発案によって入れられたという説もあります。
いずれにしても、カンガにプリントされている言葉は、カンガの重要なエレメントの一つです。
カンガの言葉は、スワヒリ語で「ジナ」あるいは「マネノ」と呼ばれます。
日本ではカンガセイイングというのが一般的になっています。
当初はアラビア語表記のスワヒリ語でしたが
20世紀初頭スワヒリ語がローマ字表記になるにしたがって、
現在のような表記になりました。最近は英語でプリントされたものもたまに見かけます。
またスワヒリ語以外では、ケニアのルオー語、ギリヤマ語などでプリントされたものもあります。
カンガセイイングは、女性たちにとってメッセージを伝える手段の一つとして機能しており、
その種類はおおまかに分けると次のように分けることができます。
- スワヒリ地方に伝わる昔ながらのことわざ
- 人生の教訓、人間としての生きる指針、人生のなんたるかを教える言葉
- 母親や妻としてのプライド、誇り、両親への感謝の気持ちを表す言葉
- 恋愛・結婚に関する言葉
- 神への感謝、神への祈り、神の祝福を願う言葉
- 社会的、政治的なスローガンを表す言葉
- 他者への忠告、皮肉など直接口に出して言えないこと
女性たちは何か他者、あるいは自分に伝えたいことがある時にその時の気持ちに合うカンガをまとい、あるいは贈ります。
その背景にあるのは、 女性が直接不平不満を直接口に出すのは恥であるという価値観です。
自身では言わずにカンガに託して気持ちを伝えることで、スワヒリ女性としての重要な価値観「HESHIMA」を守るのです。
とても奥ゆかしく、かつ、凛とした姿だと思います。
カンガセイイングは、現地の女性たちとってカンガを購入する際、もっとも重視されています。
カンガを見ながら、文言について、女性たちがあれこれ言い合っている姿もよく見かけます。